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彼の作品をまだ知らない方に説明するならば、懐かしさを感じるキャラクターっぼいものを絵画的に表現した幻想的作風とでもなるか。 そういう意味では(キャラはぜんぜん違うが)奈良美智や村上隆にそのスタンスは近いと感じられるかもしれない。 この手のジャンルは好き嫌いが別 れるところかもしれないが(まあアートはすべてそうだけど)、 見ていただくなら、それが現代の、というより時代の先端的の感性がみなぎる(よ〜するに昔風にいうと「ナウい」のだ)ものであり、かつ、単なるイラストレーター的ではない、コアな深さを感じさせる種類のものだということは了解されることだと思う。 しかしそんな風に、すでに上野陽介という作家の「個性」をわかっているつもりになっていても、 毎回、個展で新たなテーマを打ち出し、新たな切り口を見せてくれる彼には、驚かされ、また楽しまされる。 今回はテーマそのものがまさに「娯楽」。 彼にとって、創造することが、究極の娯楽なのだ、ということを表明する展覧会なのだという。 つまりは作家としての自己確認の意味をこめた展示ということであろうか。 どのような作家も創作過程の中で、そのような「自己」をテーマとする時期はある、というか必要なことだろう。 ただし、今回の上野展は、だからといってことさらに「内省的」なものではない。 それは彼という個人をテーマにしているのではなく、彼がいかに「楽しんで創作しているか」という そのコトをテーマにしている、つまり普遍的なものだからだ。 そこからひるがえってみれば、上野の絵画の「面白さ」というのは、それを受け取る人の「思考」を喚起するところにあったのだと分かる。 思考といっても、たんなる理屈という意味ではなく、個人の内面 での感情・言葉・情念…そういったもろもろのモノゴトの「創造」一般とでもいったら近いだろうけど。 だからして、彼の楽しみはイコール観客の楽しみともなる。 そういう、ある意味で幸福な関係を持てる作家と言うのは実は数少ないのではないかと思うが、それは上野のめぐまれた天分、あるいは宿命というしかない。 つくづくまさに彼は宿命において「画家」なのだと思う。 イラストレーターでなく「画家」というのは、よく分かるだろう。 しかし、彼は現代美術家といのでもまたない。ほとんどストレートに「画家」であると感じられる。 現代アートにまつわる様々な「意識」や「戦略」のようなものを感じさせずに、ごく自然に「いま」という時代の画家である、そんな感じだ。 絵を描くことで、あそび、考え、楽しめる。そんな男の子がスクスクと育って、画家になった。 そんな彼の作品をもっと多くの人に見てもらいたい。 そしてこれからも見続けていけるだろうと思うと嬉しくなる、そんな展示会なのだった。 reported by ART DEPO(2004.2.9) |
